bevFXシリーズの特徴を簡単に体験できる実用性のある無料インジケーター「しゃべるMT4」も参考にしてください。1分足のみで動作する移動平均線(期間2 シフト2)への価格のクロスを音声アラートするインジケーターです。
106_MAベルト(bevFXシリーズ MA系)
★bevFXシリーズ全体については「bevFXシリーズ フル版セット」を参照してください。
紹介
MAベルトは以下の特徴を持つインジケーターです。
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- 複数の移動平均線を横に平行移動させて描いた「MAベルト」を表示します。
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- 短期のベルトと長期ベルト(3本セット)で構成されます。
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- 価格がベルトの領域に出入りするのを監視する音声アラートを設定できます。
- 立体的な視覚表現によってチャートを新しい感覚で読めるようになります。
画面と操作
操作ボタン
チャートに追加すると、画面左に2つの操作ボタンが表示されます。
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- [S]ボタン(短期ベルト・スイッチ) … 短期のMAベルトの表示やアラートの設定
- [L]ボタン(長期ベルト・スイッチ) … 長期のMAベルト3セットの表示やアラートの設定
下の図は[S]ボタンで短期のMAベルトを表示したものです。
★「MAベルト」という呼称は音声アラートを前提としたbevFXシリーズ用に付けたもので一般的なものではありません。等距離のMAの組み合わせを「バンド」と呼ぶこともありますがボリンジャーバンドと紛らわしくなるのでベルトにしました。
下の図は[L]ボタンで長期のMAベルトの3セットの表示を追加したものです。
表示内容
「MAベルト」とは同じ期間の移動平均線をシフト(表示移動)だけを等間隔でずらして描いたものです。MA(エムエイ)はMoving Average(移動平均)の略です。以下、MAベルトまたは単にベルトと記します。
ベルトは短期と長期で次のような用途を想定しています。
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- 短期ベルト…短期的な価格の方向や勢いを測るための10本の移動平均線
- 長期ベルト…大きな流れを把握するための5本の移動平均線の3セット
基本的には長期と短期の移動平均線の組み合わせで移動平均線と価格のプライスアクションと同様に判断します。
価格がベルトに対して上にクロスして推移するようなら上昇局面、下にクロスして推移するときは下降局面です。価格とベルトの乖離が大きくなると、価格がしばらく停滞するかベルトへの戻りの可能性が高くなると判断できます。そして価格がベルトに入り込んだり絡むときは方向感がないレンジ局面です。
エントリートリガーとしてベルトを使う場合は、たとえばブレイク&リテストならば「価格がベルトを抜けたあともう一度ベルトに戻ってきて跳ね返ったらエントリーする」といった判断に使います。
★実際のエントリーに際しては、高値/安値などの水平ラインの分析を基本にして、ベルトはコンフルエンス(判断補強)として活用することをお勧めします。
プライスアクションとしては、どれも価格とクロスするかどうかが基本になります。違うのはベルトが横方向(時間方向)の幅を持つ点です。
たとえば「ローソク足が完全にベルトの領域を抜けるまで待つ」といった、”待つ時間”の目安になるでしょう。
そして、ベルトの幅がもたらす視覚効果によってチャートが立体的に見える点も大きな特徴です。この視覚効果こそがベルトの一番の注目点です。その意味と利点については後述します。
アラートモード
価格のベルトに対するプライスアクションに音声アラートを設定できます。
短期ベルト用の[S]ボタンと長期ベルト用の[L]ボタンで操作します。
それぞれのボタンをクリックするごとに次のようにボタンの動作が切り替わります。
→ ベルトを表示
→ アラートモード1(ボタンが緑)
→ アラートモード2(ボタンがオレンジ)
→ ベルトを非表示、アラート解除
下の図は白背景のチャートでの表示を示すとともに、ボタンでアラートモードを切り替えたときのボタンの色の変化を示しています。
アラートモードと音声アラート
アラートモードは次の2種類です。
- アラートモード1 … ベルト領域を価格が上か下に抜けたときにアラート
- アラートモード2 … 上記に加えて、ベルト領域への入りをアラート
音声アラートは、次のように再生されます。MAはエムエーと読みます。主語は価格です。
【短期ベルト・アラートモード1】
… ベルト → 上抜け/下抜け → 通貨ペア名
【短期ベルト・アラートモード2】
… ベルト → 上抜け/下抜け/上に戻り/下に戻り → 通貨ペア名
【長期ベルト・アラートモード1】
… ベルト → 長期 → イチ/ニ/サン → 上抜け/下抜け → 通貨ペア名
【長期ベルト・アラートモード2】
… ベルト → 長期 → イチ/ニ/サン → 上抜け/下抜け/上に戻り/下に戻り → 通貨ペア名
音声例:女声
音声例:男声
★「上に戻り」は価格が下からベルト領域に入る動き、「下に戻り」は価格が上からベルト領域に入る動きです。
★それぞれの通貨ペア名は現在のチャートの通貨ペアです。
★通貨ペアの音声アラートでの読み方や音声アラートについての注意事項はマニュアル「=bevFXフルセット版.pdf」または「=bevFXトライアル版.pdf」を参照してください。
★音声データはVOICEVOX(女声:四国めたん / 男声:剣崎雌雄)を使用して作成しています。
アラートの使い方としては、「価格がベルトの下から上に抜け一度ベルトに戻ってまた上に弾んだらエントリー」といった移動平均線へのプライスアクションでのエントリーなどが考えられます。ベルトは時間的(横方向)に太らせた移動平均線なのでその幅を調整期間として見ることで瞬間的なブレイクなどにつられることも減らせると思います。
また、価格がベルトを抜けるときは価格が高値/安値更新のタイミングの前後であることが多いので、価格と移動平均線とのプライスアクションではなく、価格の動きによるプライスアクション(短期的なサポート&レジスタンス)を観察するタイミングを知らせてくれるアラートとして使うのもよいでしょう。
ベルトの視覚効果について
ベルトは2本の移動平均線と同等
実は価格とベルトの関係は、価格と2本の平均足でもほぼ同等に表すことができます。
下の図はbevFXシリーズの
「107_MAリボン」によって2本の移動平均線で構成される領域(リボン)を表示し、そこに短期ベルトを重ねたものです(説明のために重ねただけで、使用法として推奨するものではありません)。
この図で価格がベルトを横断している部分に注目すると、価格がベルトに入るところと出るところ(つまりクロスあるいはタッチするところ)は価格とリボンの移動平均線をクロスするところとほぼ一致しています。
リボンの移動平均線は14SMA(期間14の単純移動平均線)と30SMAに設定しています。ベルトの設定はデフォルト設定のままで、期間7のSMAでシフト5からシフト14までの10本です。
★シフトさせた移動平均線と価格の関係は、シフトしない移動平均線で置き換えることができます。そのとき、「期間+シフト+N」を期間とするSMAで置き換えると考えばよいでしょう。Nの値は実際に描いてみて調整します。
★bevFXシリーズのツールセットの「S02_MAさがし」を使用すると、移動平均線の簡単に設定を変えて確認できます。
当インジケーターの狙い … 視覚効果の意味
チャートにベルトを表示することによってチャートは立体的(3D、3次元的)に見えるようになります。
MAベルトの第一の特徴はこの視覚効果です。ここが2本の移動平均線(MAリボン)との大きな違いです。その効果について考えてみましょう。
価格の動きは上下方向だけの1次元です。
チャートは、縦軸の価格の動きに横軸の時間を加えることで疑似的な2次元の「後戻りできない地図」で表したものです。
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- チャート分析とは、過去の価格の軌跡から特異なゾーン(サポート&レジスタンス、その他)を見出して1次元の価格軸に投影することです。
- トレードとは、その情報を元に狙いを定め、プライスアクションを観察しエントリーおよびイグジットすることです。
MAベルトがチャートを3次元的に見せるのは何か新しい情報が加わったわけではなく、ベルトの幅が奥行きを演出しているだけで”たんなる目の錯覚”にすぎません。
しかし、脳がチャートを立体的だと錯覚し、さらに価格の動きがジェットコースターやウォータースライダーのように思えたとたんに、脳は勝手に重力や加速度の身体的な感覚を付け足してくるでしょう。
価格の上下動に身体感覚を結びつけることについて、「チャート分析に誤った方向バイアスや余計な感情を与えるのではないか」という懸念が生じているかもしれません。実はその”脳が付け足す感覚”そのものが当インジケーターのメリットとなります。
リアルタイムで相場に向かっているときは感情にまみれ感情にコントロールされがちです。それに対して過去チャート分析するときは、自分の大きなミスを振り返るとき以外は神や賢者の視点で相場を眺めるているでしょう。この相場への態度のギャップが投資にとって最重要な”メンタル・コントロール”に大きく関係しているかもしれません。
価格の上下動に金銭欲から生じる期待や落胆が乗ることは避けられません。つまり、リアルな相場において神の視点を保つのは難しい(あるいは不可能に近い)でしょう。
そこで過去チャートを見るときにも平常心ではなくある種の興奮状態を喚起させようというのが立体的なチャートの役割です。チャートを読むときにあらかじめなんらかの身体感覚を乗せておくことで、リアルタイムの相場においても冷静な人格を奪われないようにしようということです。ルーティーン化した投資法ができていないうちは、ほんの一瞬の気の迷いが大きく明暗を分けます。
なんらかの身体感覚によって”正気”の一部を保つことができれば「なんであんな判断ミスをしたのだろう」ということを少しでも減らせるでしょう。さらにチャート上の特徴的な局面をなんらかの体感と結びつけることで、「冷静な頭だと適切に判断できる」ような思考の適切なルーチンを身体感覚として身に付けることも期待できるでしょう。
つまり、過去のチャートを分析するときに重要なプライスアクションに気づいたときは、意識的に身体感覚を結び付けることが”メンタル強化”へのひとつのアプローチになるのではないかということです。
たとえば「高値更新&安値切り上げ(HH-HL)」から「安値更新&高値切り下げ(LL-LH)」への転換は理屈として理解するものではなく、見た瞬間に身体的な感覚で判断できることが望まれます。
「あとから見ればわかった」は投資では通用しません。相場は常にリアルタイムの応用問題の連続であり、リアルタイムで通用する的確な判断力には暗記している知識の量ではなく、瞬時に無意識的に状況を見極められる身体的な感覚に近い判断力が求められます。
これらを踏まえて当インジケーターの狙いは、過去チャートを読むときに神の視点だけでなく、価格がベルトからジャンプしたり、突き抜けたり、戻ったりするのを”体感”するためのツールとして意識して活用することにあります。
ここでの身体感覚は価格の上がり下がりに感情移入する「お祈りトレード」とは本質的に異っています。たとえば、危険を分析ではなく身体感覚でキャッチすることで「損切りが当たり前」といったメンタルを育てるトレーニングとなります。
立証された理論に基づくものではありませんが、心当たりのある方には”メンタルトレーニング”に対しての新たなアプローチ法として検討する価値はあると思われます。
ただし身体感覚といっても、現実世界での重力や加速度への感覚そのままではありません。相場は上からも下からも”引力”があるからです。そこで、MAベルトが価格にとっての一時的な”地面”であると意識するわけです。
価格と移動平均線はその計算方法から考えても、常に互いに戻ってくる関係にあります。局面に応じてどの移動平均線が価格にとっての”地面”になっているかといった視点で相場を見るのもよいかもしれません。
そうすることによって素朴な「高い/安い」の”値ごろ感”という無用なバイアスも払拭できるでしょう。
いずれにしても、チャートを読むときに単なる知識を超えた、熟達したチャートの読み手のような的確ですばやい”分析感覚”を習得していこうというのが主旨です。
他のインジケーターとの組み合わせ
同梱のマニュアルではbevFXシリーズの他のインジケーターとの組み合わせ例を紹介しています。ここでは図だけを示します
ボリンジャーバンドとベルト
リボンとベルト
他のインジケーターとの関係
同梱のマニュアルでは当インジケーターで一般的に知られているインジケーターと同等あるいは近似のものに設定する例を解説しています。ここでは図のみを示します。
アリゲーターと短期ベルト
一目均衡表
カスタマイズ
当インジケーターは外観の設定をはじめとしてさまざまな設定が変更できます。
移動平均線については以下の設定ができます。
- それぞれの移動平均線の期間とシフトと移動平均の種別
- 長期ベルトのそれぞれについて移動平均線どうしの間隔
実際にこれらのパラメーターを変更して最適な設定を見出そうとするとかなりの労力と時間がかかると思われます。設定を変えて画面で確認という作業を延々と繰り返すことになります。いわゆる聖杯さがしではなく「ここを変えたらどうなる」くらいの取り組みをお勧めします。
たとえば長期ベルト1で「MAの間隔を8、移動平均の種別をSmoothed」に設定すると、「相場フェイズの転換への追随がよくなった気がするし、移動平均線の間隔を広げたことで価格の調整期間ともより合致しているように思える」といったアプローチです。
ストラテジーテスターでの実行
… 実践的学習メソッド …
MT4のストラテジーテスター機能で過去チャートを使った実践的な学習や訓練ができます。
ストラテジーテスターは指定した期間のチャートを再現(時間を早回し)する機能です。ストラテジーテスターはおもにエキスパートアドバイザー(EA)の動作チェック用のMT4の機能と言えますが、通常のインジケーターの動作確認をはじめ、相場の振り返りや投資法の検証などにも利用できます。
bevFXシリーズと簡易トレードシム
ストラテジーテスターにとって、インジケーターの検証や過去チャートの再現の用途は”一応搭載されている”程度の機能です。もともとEAの自動売買の取引パフォーマンスを評価するためのものなので、過去チャートの再生用途には使い勝手(ユーザーインターフェイスの応答性など)がよくありません。
しかし工夫しだいでトレーダーの過去検証や自己訓練用に役立てることができます。
bevFXシリーズのインジケーターは「ツールセット」を除いて、ストラテジーテスターで追加されたときに自動で使いやすい画面設定になるように背景色やグリッドの非表示などの設定を行います。
また、ストラテジーテスターでのテスト実行ではトライアル版も時間足の制限なくほぼフル機能(ストラテジーテスター自体による制約を除いて)で動作します。
さらに、せっかくの過去チャート再生なので、そこで疑似トレードが行える「簡易トレードシム」機能を以下のインジケーターに搭載しました。これらのどちらかを併用することで、ただチャートを眺めるだけでなく臨場感を持って過去チャートを振り返ることができます。投資法の検証と投資スキルの向上に活用できるでしょう。
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- 「001_ものさし」の「簡易トレードシム」
- 「S04_簡易トレードシム」(ツールセット)
ストラテジーテスターの制約
ストラテジーテスターでは以下のような制約があります。
・あらかじめ指定した時間足だけで実行
・追加したインジケーターでは別の時間足のデータを参照する処理は実行されない
・アラート関係の処理は無視
このほかチャートへのキー操作やマウス操作の応答も鈍くなります。
実行例
下の図はメインのインジケーターを「001_ものさし」にしてテスト実行中に「002_日本時間とキリ番」を追加したあと、当インジケーターを追加したものです。
右のボタンが並んだパネルは「001_ものさし」をストラテジーテスターで実行したときに起動される簡易トレードシミュレーター(トレードシム)です。これによって過去チャートでインジケーターを評価するだけでなく実際の取引に近い形で体験できます。
短期と長期のベルトと価格との関係を参考にしてエントリーの練習ができます。
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