1. 概要
あの「Pound君 Hige Hunter」インジケータが、EAになって帰ってきました。
レンジ相場で強力なツールになる「Pound君 Hige Hunter」の特徴(波動のピーク、ボトムでの逆張り)を生かして、安定して利益が得られるEAに仕上げたものです。
2. 特徴
ナンピン型のEAです。
ナンピンの上限回数、1回毎のロット倍率をユーザーが指定できます。
少額資金モード、ロスカットモードを搭載しています。
過去20年間のバックテストを実施して、破綻が無いことを検証しています。
通貨ペアは、USDJPY。5分足チャートを使用します。
両建てを行うので、両建て対応の証券会社で運用してください。
3. ロジック
EAのEntry条件に「Pound君 Hige Hunter」インジケータのロジックをそのまま用いています。
EAのEntry条件には、「Pound君 Hige Hunter」インジケータの矢印が出ていることに加えて、長期移動平均線からの乖離度が上下に指定数値(閾値)を超えていること条件としました。
EAのExitにも「Pound君 Hige Hunter」インジケータのサインを利用します。Entry方向と逆方向にサインが出た時に、少しでも利益が出ていれば利確します。
保有するポジションと逆方向に相場が動いた場合、前回のEntry価格と終値の差が一定幅を超えたら、ナンピンを行います。さらに逆行した場合は、指定回数までナンピンを繰り返します。
「Pound君 Hige Hunter」インジケータのサイン出現時に、トータルで利益が出ていれば、保有する全ポジションを決済します。
最後のポジションを持った時刻から、指定時間が経過したら、損益の有無を問わず全決済を行うモードを備えています。(損失を拡大させない為の安全対策です。)通常は、この機能はOFFにしています。
利益確定を確実にする為に、最後のポジションを持った時刻から、指定時間が経過した時点で、少しでも利益が出ていれば決済します。(この機能もON/OFFできます。)
指定した最大利益以上の含み益が出ている場合、即決済する機能も付加しました。(この機能もON/OFFできます。)
レンジ逆張りに優位性のある「Pound君 Hige Hunter」のロジックに加え、小ロットでナンピンを行い、さらに、利益を確実に確保する仕掛けをあちこちに組みこみました。
4. パラメータ
デフォルト設定値 説明
1. Lots 0.01 初期ロット
2. Auto_Lots false 自動ロット有効
3. Base_Funds 600000 Auto_Lotsで計算の基準とする資金
4. xf_1 1 1回目ロット倍率
5. xf_2 1 2回目ロット倍率
6. xf_3 2 3回目ロット倍率
7. xf_4 3 4回目ロット倍率
8. xf_5 5 5回目ロット倍率
9. xf_6 8 6回目ロット倍率
10. xf_7 13 7回目ロット倍率
11. xf_8 21 8回目ロット倍率
12. xf_9 34 9回目ロット倍率
13. xf_10 55 10回目ロット倍率
14. xf_11 89 11回目ロット倍率
15. xf_12 144 12回目ロット倍率
16. max_cnt0 8 最大ポジション数
17. K_WD0 150 次のナンピン買いまでの幅(pips)
18. U_WD0 500 次のナンピン売りまでの幅
19. Low_AB_MODE false 少額資金モード有効
20. LAB_LC false ロスカット有り
21. LC_K1 6 買いロスカット作動
22. LC_U1 3 売りロスカット作動
23. K_WD1 160 少額買いStep幅
24. U_WD1 500 少額売りStep幅
25. KAIRI_TH1 3.2 上側乖離度閾値
26. KAIRI_TH2 -1.4 下側乖離度閾値
27. corner 0 表示位置
28. max_Gain_Exit true 最大利益決済有効
29. max_Gain 230000 最大利益額
30. Time_Gain_Exit true 時間経過利益決済
31. Time_Exit false 時間経過決済
32. Exit_TM 700 経過時間指定(hr)
33. TM_GAIN 200 利益判定額
34. MAGICNUM_ON true マジックナンバー有効
35. KAI true 買い側有効
36. URI true 売り側有効
37. MA_P1 20 短期移動平均期間
38. MA_P2 75 中期移動平均期間
39. MA_P3 200 長期移動平均期間
40. MA_MODE 1 移動平均のモード
41. HIFE_F 6.4 髭とみなす係数
42. STC_%K 44 ストキャスティクスの%k
43. STC_U_TH 92 ストキャスティクス上限
44. STC_L_TH 10 ストキャスティクス下限
45. STC_U_BORDER 88 ストキャスティクス上側境界
46. STC_L_BORDER 20 ストキャスティクス下側境界
47. Send Mail false メール送信の有無
48. MAGICNUMBER 12300007 マジックナンバー
49. Mail_Header Hige Hunter EA メールヘッダー文字
50. Buy_Gain Gold 買い含み益の色
51. Buy_Loss Aqua 買い含み損の色
52. Sell_Gain Gold 売り含み益の色
53. Sell_Loss Tomato 売り含み損の色
54. No_Position DarkGray ノーポジション時の色
55. Result_color Lime 結果表示色
56. CL_Buy_Avg DeepSkyBlue 買い平均水平線の色
57. CL_Sell_Avg Orange 売り平均水平線の色
初期ロットは必ず最低の0.01ロットから始めて下さい。資金に十分な余裕ができてから初期ロット数を増やして下さい。
自動ロット (Auto_Lots) 機能も付いています。通常、Auto_Lotsはfalseになっています。これを、trueにすると、資金残高がBase_Fundsの2倍以上になった場合に、残高に比例して初期ロット数を増やします。
ナンピンの係数は、xf_1からxf_12で指定します。デフォルトではフィボナッチ数列(1,1,2,3,5,8,13,21,….)になっています。初期ロット数にこの係数を掛けたものが、次のエントリーのロット数になります。もちろん、ユーザーが自由に変更できるので、資金に余裕のある方は、1,2,4,8,16,32,64(マーチンゲール)等に変えて頂いても構いませんが、推奨はしません。
最大ポジション数は、デフォルトでは8になっています。初期ロット数が0.01の場合、最大保有ロット数は0.54になります。
次のナンピンまでの幅の指定は、売り買い独立に指定できます。
少額資金モードについては、6.をご参照ください。
長期移動平均線とローソク足の乖離度が閾値以上ないと、エントリーしない仕様になっています。
Time_Gain_Exitは、時間経過して利益があれば決済する、Time_Exitは、時間が経過したら無条件で決済する、の違いがあります。通常は、Time_Gain_ExitがON(true)、Time_ExitがOFF(false)になっています。
MAGICNUM_ONは、他のEAとの干渉を避けるために設けました。
MAGICNUM_ONは、通常はtrueに設定してあります。手動でポジションを追加した場合なども含めて、全てを決済したい場合は、falseにしてください。USDJPYの全保有ポジションに対してEAの決済動作が実行されます。
通常は両建てで売り買いを実行しますが、買いのみ、売りのみにする場合はKAI,URIをそれぞれfalseにしてください。
パラメータのMA_P1からMA_P3は、移動平均線の期間指定になります。
MA_MODEは1で、指数移動平均を使用します。
HIGE_Fは、6.1でやや辛めの髭検出指定となっています。この値が大きいほど長い髭を持つローソク足に絞られることになります。
STC%KからSTC_L_BORDERまでは、「Pound君Hige Hunter」インジケータと同じ内容ですが、上側をやや絞った設定に変更してあります。
画面表示の色設定をユーザーが自由に変更できるようにしてあります。含み益の場合と含み損の場合で、表示色が変わります。
ポジションを持った場合、買い平均値と売り平均値の位置に、それぞれ別の色で点線の水平線を描画します。
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5. ナンピンを上手く使うには
「ナンピンは怖い。マーチンゲールなど、もっての外」というご意見も、もっともです。ナンピンの手法は、本質的に危険な側面を含んでいます。一方向に相場が動いた場合には、含み損がどんどん増えていきます。言ってみればナンピンは毒です。ただ、毒も薬も使いようで、上手く使えば、通常のEAよりも高い勝率、高いPF(プロフィットファクター)のEAに仕上げることができます。
ロット数を最小からスタートする。
変動の激しい通貨ペアを避ける。
ナンピン回数に制限を設ける。
○○○ショックなどの、極端な相場変動にも耐えられる基本設計。
例えば、過去の最高値と最安値(極端ならゼロ)の間隔をn等分し、最悪なシナリオの場合でも破綻しないような十分な資金を用意した上で、ナンピン設計すれば、破綻しないEAが出来上がるわけですが、資金効率は極端に悪くなります。
資金効率を上げると、リスクが高まります。要は、資金効率とリスクをどう取るのかというバランス感覚が一番重要になってくるわけです。
6. 少額資金モード
本EAは、ナンピン型EAであるため、ある程度の総資金が必要です。しかし、資金が少ないユーザーの為に、少額資金モードを設けました。この設定をONにすると、ロット数およびナンピン係数が、少額資金用に変更されます。またポジションを増やす際のStep幅も、独自に指定されます。
少額資金モードでは、初期ロット数は、0.01に、ナンピン係数は1に固定されます。ロスカットONの場合は、指定された売り買い個別の上限ポジション数まで、ロスカットOFFの場合は、最大上限ポジション数の指定値まで、ナンピンを行います。
例えば、ロスカットOFFで最大上限ポジション数が12の場合は、ナンピンを11回まで繰り返します。保有ロット数の最大は0.12ロット(0.01ロットのポジションが12本)になります。
少額資金モードでは、ロスカット条件の指定を、売り買い別々に指定できます。指定ポジション数の上限に達すると、損失があっても決済されます。
少額資金モードでロスカット有を指定すると、指定したポジション数を超える条件に達した場合に、持っているポジションを損切り決済します。例えばLC_K1が6の場合、買いポジション数が6まではポジションを保持しますが、次の買い条件に達した場合に、ポジション数が7となるので(指定の6を超える)、ロスカット損切が発動します。
(なお、通常モードの場合は、ロスカットは動作しない仕様になっています。)
7. 実行画面
図1
1行目:買い:[ポジション数]、損益、平均値、総ロット数、経過時間
2行目:売り:[ポジション数]、損益、平均値、総ロット数、経過時間
3行目:通算利益、最大ドローダウン、過去最大ポジション数(買い、売り)、現在損益
8. バックテスト結果の3モードの比較
バックテストの期間は長ければ長いほど良いのですが、あまり期間が長いと検証に時間がかかるので、テスト期間を20年としました。これは、2008年のリーマンショックや2015年のチャイナショック等に耐えられるが否かについて検証したかったからです。(期間10年では、リーマンショックに対する耐性検証ができません。)
図2
図2は、通常モードの結果(期間:1999年1月1日~2020年10月31日)
図3
図3は、少額資金モードの結果(期間は、通常モードと同じ)
図4
図4は、少額資金モード+ロスカット有(期間は、通常モードと同じ)
途中で何回かロスカットしていますが、トータルではプラスで終わっています。
絶対ドローダウンの値は、通常モード > 少額資金モード > ロスカットモードの順番になっています。(PFはプロフィットファクターです。)
少額資金モード、ロスカットモードとも、絶対ドローダウンを下げるある程度の効果があると考えられます。
総合して考えると、やはり通常モードが最も優れていると判断できます。なお、バックテストでは、初期証拠金を通常モードでは100万円、少額資金モードおよびロスカットモードでは10万円としてスタートしています。
9. 資金管理
8.のバックテスト結果まとめの表を見て、資金管理を検討してみます。
1999年から2020年10月までの約20年間のバックテストの結果では、通常モードで、最大ドローダウンが約17万円なので、ドローダウン分として約17万円を用意します。これに加えて、ポジションを持つための証拠金が必要です。証拠金の額は、証券会社のレバレッジによって変わってきますが、国内の証券会社ではレバレッジが25倍なので、USDJPYのポジションを0.01ロット持つのに約4300円が必要になります。(1$=106円として計算)
通常モードの最大ロット数は、(最大ポジション数8として)0.54ロットです。従って必要証拠金が4,300 * 54 = 232,200円になります。
(海外の証券会社などでレバレッジの高い場合は、0.01ロット保有するのに120円程度などとなり、必要証拠金はかなり抑えられます。)
以上を合計して約41万円(17万+24万)が、通常モードを実行するのに必要な資金になります。
より安全サイドで検討すると、最大ドローダウンの2倍+必要証拠金をスタート資金とする考え方もあります。この場合は、17 * 2 + 24 = 58 となって、58万円が必要資金となります。
従って、20年間破綻しない為の必要総資金は、初期ロット数0.01あたり60万円と計算することができます。総資金が120万円になれば、初期ロット数を0.02に上げられます。
少額資金モードでは、最大ポジション数が12なので、最大ロット数は0.12ロットになります。この場合必要証拠金は4300 * 12 = 51,600 となります。少額資金モードの絶対ドローダウンが39,700なので、用意する資金はギリギリ10万円でなんとか運用ができそうです。できれば、最大ドローダウンの値を考慮に入れるべきなのですが、何せ少額資金しか無いのですから、取り敢えず絶対ドローダウンに耐える最低限の資金を用意し、走らせながら資金を増やしていくことになります。(ハイリスクだなぁ)
ロスカットモードでは、最大ポジション数が8なので、最大ロット数は0.08ロットになります。この場合必要証拠金は4300 * 8 = 34,400 となり、さらに小資金での運用が可能となります。
以上は、あくまでも過去データからの試算であり、将来の安全を保障するものではありません。また、バックテストにおいても、何時からバックテストを始めるかによって結果が異なってくることがあります。
十分な資金を用意された上で、通常モードで運用されることを推奨します。
10. もう少し攻めた運用法を考えてみました。
リスクは高くなりますが、少額資金から効率的に資金を増やしたい方向けの方法です。(むろん、この方法では20年間の長期バックテストには耐えられません。リスク覚悟の上で運用してください。)
図5
図5は、ドル円の週足チャート(2000年~2020年の期間)です。2002年1月に134円の高値を付けてから2011年10月に75円まで下落、その後2015年5月に125円まで戻してから、やや下降気味に推移しています。
紫の縦線の位置が2018年1月です。2018年以降は、ドル円のレートは赤い2本の水平線の範囲内(103円~114円)に収まっています。ドル円の変動幅が約10円の幅に収まっているのであれば、EAのパラメータを変更して、収益率を上げることが可能になります。
パラメータを次のように変更しました。
通常モード K_WD0 = 49, U_WD0 = 11
少額資金モード K_WD1 = 45, U_WD1 = 10
2018年1月1日から2020年10月31日の期間でバックテストを行ってみました。(なお、この期間内においてロスカットは発動しなかったため、ロスカットモードは表にありません)
スタート資金は、どちらのモードも10万円としました。
さすがに、通常モードで資金10万円では、破綻こそしないものの、かなり苦しい展開となりました。辛うじて破綻を免れていますが、相対ドローダウンが93。6%となり、かなり危ない状態でした。通常モードでは、もっと十分な資金を用意した方が良いでしょう。
一方、少額資金モードでは、なかなか良い成績を出しています。
通常モードと少額資金モードのバックテスト結果を図に示します。
図6(通常モード)
図7(少額資金モード)
11. 自動ロットの検証
通常モード
自動ロット(Base_Funds=600,000、初期証拠金1,000,000、K_WD0=150,U_WD0=500)でバックテストを実行すると、純益は初期ロット固定の約2倍になりました。(バックテストの期間は20年間、1999/01/01~2020/10/31)
自動ロット(Base_Funds=600,000、初期証拠金1,000,000, K_WD0=49,U_WD0=11)でバックテストを実行すると、純益は初期ロット固定の約2倍になりました。
(バックテストの期間は2年10か月、2018/01/01~2020/10/31)
少額資金モードで自動ロット
少額資金モードで、自動ロット(Base_Funds=100,000、初期証拠金100,000, K_WD1=45,U_WD1=10)でバックテストを実行してみました。純益は自動ロット有にすると無の場合の約1.32倍になりました。(バックテストの期間は2年10か月、2018/01/01~2020/10/31)
期間を直近の10か月に限ると、次のようになります。
(自動ロット有、バックテストの期間10か月、2020/01/01~2020/10/31)
バックテストの検証期間を短くした例では、絶対ドローダウンの値が増えますが、最大ドローダウンの値は変わっていません。従って、この期間に最大ドローダウンが起きていることが分かります。何年何月何日からバックテストを始めるかにより、絶対ドローダウンの値は違ってきます。資金管理に当たっては、絶対ドローダウンの値を根拠にするよりも、最大ドローダウンの値を基準に考えた方が良いでしょう。
10か月で、初期証拠金100,000円が199,561円となり約2倍に増える結果となりましたが、相対ドローダウンが78.2%もあり、かなりリスクの高い状態だったことも同時に考えるべきでしょう。
図8(少額資金モード、期間10か月)
このEAは、ユーザーが各パラメータを自由に変更できるので、設定次第で、「長期安定型」から「短期ハイリスクハイリターン型」にまで、柔軟に対応することができます。どの運用方法で実施するかは、ユーザーの手に委ねられています。
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